「男女間の格差が存在する世界に生きなければならないなんて、全くばかげています。思いやりや慈悲心が少しでもある人なら、女性の地位向上が人類の未来に繋がることに気付くはずです」-MJデラニー(映画監督)

女性の権利を主張する運動は大きく前進したが、男女間格差は依然として存在しており、真のジェンダー平等を確立するためには、この格差を完全に取り除く必要がある。

そこで、国連が推進する「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)」の認知拡大の取り組みである「Project Everyone(プロジェクト・エブリワン)」では、ゲッティイメージズ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(世界最大の慈善基金団体)、SAWA(世界的な映画・スクリーン広告協会)と提携して、スパイス・ガールズの1996年デビュー曲『ワナビー』のミュージックビデオをリメイクした。これは、少女や女性の生活向上を目指す新たなキャンペーン「Global Girls(グローバル・ガールズ)」​の一環である。  女子への質の高い教育の提供、児童婚の撲滅、男女同一賃金の実施などを求めて、世界中の少女や女性が立ち上がる姿は、力強く美しいものがある。

このミュージックビデオのディレクターとして選ばれたロンドン出身の映画監督MJデラニー(MJ Delaney)は、プロジェクトに関わることができてとても嬉しかったそうだ。

「ビデオが伝えるメッセージを強く信じているのはもちろんですが、スパイス・ガールズの大ファンだったので、夢のような仕事となりました。オリジナルの『ワナビー』がリリースされた時、私は9歳でしたが、ガールパワーについて初めて教えてくれたビデオですね」

『ワナビー』の歌詞は、当時少女だった彼女だけでなく、同世代の女の子たちの頭から離れなくなり、その後の生き方に大きな影響を与えることになった。

「スパイス・ガールズの曲を聴いて育った女の子たちが、女性の権利のために戦う強い女性になったのも、偶然のことではないでしょう。幼い頃から女性の力と可能性を信じてきた私たちが、大人になって直面した事実とは、男女の不公平さでした。だからこそ、女性の社会的地位の向上を目指して、フェミニストとして誇り高く声を張り上げているのです。

女性同士が競争相手としてではなく、サポートし合う仲間になれば、友情や同盟関係が生まれて価値や力が引き出されるようになると、私や同世代の女性は感じています。ガールパワーの影響力を甘く見てはいけませんよ」

世界中の女性を登場させながら、多様な視聴者のことも念頭に置いて、キャスティングを行ったデラニー。

「世界中の有名な女性をたくさん迎えることが、私にとっての大きな目的の1つでした。ミュージックビデオは、欧米でヒットさせるために制作されることが多いのですが、アメリカ、イギリス、カナダだけでなく、インド、ナイジェリア、南アフリカのスターを登場させることで、様々な国のファンが集まるようにしたかったのです」

またデラニーは、『ワナビー』のオリジナルビデオに敬意を表しながらも、今風のスタイルで現代の視聴者の感性にも合わせようとした。

「このビデオの制作は本当に楽しかったですよ。スパイス・ガールズのファンの1人としては、オリジナルの素晴らしさを残したかったので、ホテルの階段、バス、キックなどのシーンを再現しました。オリジナルとは違う点としては、積もり積もった不満と長年の問題の解決を要求する姿勢を示すために、出演した女の子たち全員に、強めの態度で演じるように指示しました」

「制作中にたくさん詰め込まれたガールパワーは、最終作品を見ても感じられるはずです。年齢、人種、生まれ育った環境など、異なる背景を持つ一人ひとりが協力することででき上がったこのビデオは、コラボレーションの賜物であり、スパイス・ガールズの精神そのものです」

このビデオでは、強く生きる多種多様な女性たちが登場しているのはもちろんのこと、実は制作スタッフもほぼ女性なのだ。ゲッティイメージズの報道写真家ヴェロニク・ド・ヴィグエリ(Veronique de Viguerie)も、出演者たちのポートレート写真と舞台裏シーンの撮影を行った女性スタッフの1人だ。

3つの大陸をまたいだ撮影では、様々な課題があったものの力強いビデオを作成することができた。このビデオを通じて変化をもたらすことができればと、デラニーは期待している。

「最終ゴールは、2030年までにジェンダー平等を実現する、という世界目標の達成に向けて貢献することです。男女平等を話す人は大勢いて、勇気や励みになりますが、大事なことは国境や大陸を越えて“声”を1つにすることだと思います。世界中の女性が一丸となってジェンダー平等のために立ち上がれば、実現する日が近づくことでしょう」

 

「Global Girls(グローバル・ガールズ)」キャンペーン用に撮影された写真は、ゲッティイメージズをご覧ください。