ゲッティイメージズのフォトエディターは、フォトグラファーが撮影した写真が数秒内に届けられ、世界中の出来事をほとんど間近で見ています。エディターが毎日見る写真の量は膨大で、その中でもベストの写真は表現することが難しい力強さが漲っています。次に紹介する写真はエディターが選ぶ2016年印象に残ったベストショットです。皆さんにもここから何かを感じて貰えれば幸いです。

ジム・ダイソン
Picture Desk Manger, London

「この写真は私を釘付けにした一枚で、移民問題と子供達の窮状の恐怖と騒乱を伝えています。日々深刻な写真を扱っていると、ある程度鈍感になりがちですが、この写真には特に大きな影響力を感じました。今年の夏に双子の父親になったことも理由の一つです。赤ちゃんの驚くような表情は、愛おしくもあり心が痛む瞬間でもあります。

キー・ロバートソン
Senior Picture Desk Editor, London

「目を引いた写真は、サンモリッツで行われたワールドカップ決勝戦の女子スーパー大回転でのティナ・ワイラターの躍動感あるショットです。動き、景色、天気、ドラマの全ての要素が組み合ったとき、ウィインタースポーツの写真はスポーツ写真の中で最高の一枚になります。この写真では、フォトグファーのマティアス・ヘングストが絶好のポジションからカメラを構え、撮影スキルとカメラの能力を活かして、驚くべきい一瞬を撮影しました」。

アンディ・キス
Senior Picture Desk Editor, New York

「大統領選を通じて、ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏の感情が表情に滲み出ている写真を多く見てきました。私がこの写真を気に入っている理由は、写真の力強さが感情を押し殺そうとしているところから来ているからです。一つの例としてこの写真は、ヒラリー・クリントンとその支持者達が選挙に負けたときに押し寄せた、苦い失望感と屈服感を捉えています。

ルビー・ヴァラウ
Picture Desk Editor, Los Angeles

「エディターとして好きな瞬間は、フォトグラファーが驚かせてくれるときです。この写真は、素晴らしい構図、証明や瞬間だけでなく、フォトグラファー自身の個性が現れています。撮影者のリンタオ・チャンは、撮影しながら予想を覆すような何かを探していました。この写真はファッションやモデルに焦点を合わせず、シルエットとフィルターを使うことでエレガントな瞬間を捉えています。私はフォトグラファーがイベントで普通の写真をとるだけでなく、彼らの冒険心を押し出すような写真も好きです」。

ビクトリア・ミドルトン
Senior Picture Desk Editor, London

「私が夜勤で働いているときに、フォトグラファーのカール・コートがこの写真を送ってきました。その時ひどく衝撃を受けたのを覚えています。おそらく7歳か8歳くらいの無邪気な少年が自転車に乗りながら、カメラをまっすぐ見つめています。そして燃え続ける火の様子と並べられています。この写真は見る人を引き込み、この少年やその家族、さらにISISの影響を受けた全ての人の将来はどうなるのかという、疑問を提示します。写真に溢れる世界の中で、この写真はまさに私の目を留めさせ考えさせる機会を作りました」。

ジェリー・フィアンダカ
Picture Desk Editor, New York

「2016年はおそらく政治分断、恐ろしいテロ、著名なセレブリティーの死去など多くのことがありました。一人のエディターとして働いていると、日々悲しい出来事の写真を多く見るため、良いことを忘れがちです。そんな中でもスポーツイベントは今年の救いです。クリーブランド・インディアンスがついに優勝を勝ち取り、シカゴ・カブスが108年ぶりにワールドシリーズで優勝し、そしてリオオリンピックがありました。レースに負傷したアビー・ダゴスティーを助けるニッキ・ハンブリンの写真は、オリンピック精神の全てが凝縮されています。それは世界が一つになり、違いを乗り越えて、共通の人間性を認め合うことです」。

ヒラリー・マルキエビッチ
Picture Desk Editor, New York

「アレックス・ウォンが撮影したオバマ大統領の写真を見るたびに、微笑まずにはいられません。娘が携帯電話でセルフィーを取る姿をまねたこの写真には、自由の国アメリカのリーダーであると同時に父親である一人の男性を垣間見ることができます。エディターとして、大統領のお茶目な振る舞いと「親父ジョーク」というユーモアセンスの瞬間を捉えた一枚を目にできなくなることが、一番寂しいことです。

マイケル・ボッキエリ
シニア写真デスクエディター、ニューヨーク

「多くの宇宙着陸の写真を見てきましたが、NASAのビル・インガルズが撮影したこの写真には特別な歴史的な価値があります。インガルズは、ロシアのヘリコプターが雲の中を漂流ながらソユーズ宇宙船を追跡した様子を、ヘリコプターの中から撮影しています。ヘリコプターにはNASAのコマンダー、スコット・ケリー、ロシア人宇宙飛行士ミハイル・コルニエンコ、ロスコスモスのセルゲイ・ヴォルコフというExpedition 46のメンバーが乗船していました。ケリーとコルニエンコは長期にわたる無重力状態が人体に及ぼす影響についての情報を収集するために、国際宇宙ステーションで記録的な長期任務を達成したばかりでした。これは、火星への人類移住を実現させるために必要な多くの手順のほんの一部です。火星は地球に続いて太陽系で最も住みやすい惑星で、人類の進歩において地球の外に人類の住める場所を拡大することは非常に重要です。」

Cチェルシー・ゲグリーエルミノ
Senior Picture Desk Editor, Los Angeles

「エンターテイメント写真のエディターである私にとって、この写真は2016年を完璧に表現するものです。これを見ると、サイバーカルチャー、隠し撮り、オリジナル芸術作品とのあいまいな境界について考えさせられます。スコット・マーシュの壁画はゲッティ イメージズの専属フォトグラファー、ジェイソン・メリットが撮影した写真から作成されたジェン・ルイスによるミームに基づています。ブランドン・ソーンの写真は、写真の所有権をゲッティ イメージズのフォトグラファーに戻しました。ようやく元の鞘に戻ったかのように見えたとき、私は写真に写っている手について考えます。写真を撮った人はおそらくこれをInstagramに投稿して、すべてがもう一度繰り返されるのです!」

クリスタル・グロウ
Picture Desk Editor, New York

「ニュースデスクのエディターである私たちは悲劇的なもの、栄光の一瞬を捉えたものにかかわらず、重大なニュース速報の写真を最初に目にするという喜びと責任の両方を負います。この写真はフロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」で起きた銃乱射事件の翌日、死者49人、負傷者53人というアメリカの歴史上最悪の集団銃撃事件を悼んで国内から集まってきたときに、撮影されたものです。銃撃事件の数時間後、悲しみ、混沌、損失、絶望を表した写真ばかりが届く中、デビッド・マクニューの抵抗、愛、強さ、団結を表した写真は、情報を伝え、人々を啓蒙し、複雑な考えと感情を優雅に美しく伝えるという写真の可能性を非常に感動的かつ力強く思い出させてくれました。

サラ・モリス
Senior Picture Desk Editor, Los Angeles

「ファッションウィークからの写真は照明、舞台装置、メイクアップ、スタイリングなどのすべてがフォトグラファーを刺激し、非常にクリエイティブなショットが期待できるため、編集作業も非常に楽しいものです。このミラノファッションウィークにアントニオ・マラス ショーのバックステージを捉えた写真は見事なものです。背景の暗い色彩とモデルの唇の色が白い肌との美しい対比をみせています。フィルターをうまく使用してフレームの端にソフトフォーカス効果を出すことで、自然にモデルの鋭い表情に目が行きます。この写真はすべてが計算しつくされたスタジオではなくファッションショーの慌ただしさで有名なバックステージという環境で撮影されたことを考えると、なおさら注目に値します。こういったすべての要素が組み合わされて、絵画のような作品になっており、バックステージを撮った他の写真と比べて非常にユニークな写真と言えます。」

マット・ブライス
Senior Picture Desk Editor, Sydney

「今年度のオーストラリアオープン戦でキャメロン・スペンサーが撮影したこの写真を編集できたのはラッキーでした。これをみた瞬間「これは、マジですごい!」と思いました。テニスの写真をずっと担当していますが、こんな写真は見たことがありません。ほぼフルフレームで撮影されていて、鮮明で、一番大切な、動きが完璧です。テニス選手が完全に地面と平行になってプレーしているのを見たことがありますか?」

ジョン・キーブル
Senior Picture Desk Editor, London

「僕たちは「あっ!」と驚かされるような素晴らしい写真を毎日目にしています。この写真を見たとき、状況の悲しさに心打たれました。よく見ると、2人の男の子は2人を慰めようとして与えられたチョコレートバーとお菓子をしっかり握っているのに気が付きました。息子が同じ年頃だったときを思い返して、どんなに息子を守ってやりたいと思っていたかを思い出します。そしてチョコレートバーで息子をなだめようとして、息子がこの写真の男の子たちと同じようにチョコレートバーを握りしめていたことも思い出します。私にとって、この写真は画像の力を体現しています。立ち止まらせ、悲しい思いにさせ、この男の子たちの生活と彼らが置かれた状況について考えさせられます。昔を振り返り、ありがたいと思うようにもなりました。」

ラリー・カッチャル
Senior Picture Desk Editor, New York

「この写真がデスクに届いたとき、思わず身体を起こして、メモを取りました。コントリビューターのアレクサンダー・コーナーの写真を長い間見つめていました。ずっと先頭を維持していたランナーが伸び悩み、3位になった弟に助けられて2位になったという事実のおかげで、この写真は優れた写真に欠かせない要素、ドラマ、ニュース性、構図を備えた一枚として深く記憶に刻まれることになりました。」

ショーン・コンウェイ
Senior Picture Desk Editor, London

「毎日目にする素晴らしい画像の中からひとつの写真を選ぶのは非常に大変な作業です。
とは言え、コンテンツ提供パートナーのアナドールが撮影したこの写真のなかで難民たちが経てきた旅ほどに大変なことなど何もありません。「より良い生活」のためのこの旅がいかに危険であるかがひとつの写真に凝縮されています。」

エリーズ・シヴァリー
Picture Desk Editor, Los Angeles

「ビル・マレーのこの表情とここで捉えられている感情が好きです。まさに“決定的な瞬間”の完璧な例です。」

サイモン・ブラウン
Senior Picture Desk Editor, London

「スチュアート・C・ウィルソンの写真を初めて目にしたのは、通勤中に『The Guardian』紙の一面を見たときのことでした。非常にグラフィックで印象的だったので文字通り立ち止まって写真に見入ったものです。本当に引きこまれる写真です。この写真も異なる角度から撮影に取り組むという「別の視点」の技術が生かされた一枚です。」

ホアン・ラモス
Picture Desk Editor, New York

「ロサンゼルス在住のデビッド・マクニューが撮影したこの写真は警察とトランプ反対派の人たちとの間の神経をとがらせた瞬間を捉えています。この日届いた大量の写真のなかでも、この写真は10年間にわたるエディトリアルの客観性に対して試練を課す極めて繊細な絶望感を引き起こします。政治的、社会的、文化的な対話が怒りの衝突となり、自宅が二度と同じままではなくなる歴史的な断崖の瞬間でした。

ジュリア・リープシャー
Senior Picture Desk Editor, London

「メルセデスベンツ中国ファッションウィーク春夏2017のフォトグラファーのリントウ・チャンが撮影した一連の写真を編集していたとき、数千枚もの写真のなかで見事に捉えられたこの写真が私の目に飛び込んできました。モノクロの画像と、クリーンなラインと透明なヴェールが対照的で、見事に結合されています。観客を構図に取り入れていることで、祈りの場のような雰囲気が生まれています。」

レイチェル・ジャクソン
Senior Picture Desk Editor, Los Angeles

「公衆の目にさらされて成長するのはどういうものなのか想像できませんし、カリブ海に行ったこともありません。この写真が好きな理由は場所と時間の雰囲気がよく表れているからです。この写真に写っている人々は美しい熱帯の島にバカンスに来ているのに、ハリー王子がここを通りかかり、時間がそこで止まっています。ハリー王子が自分のすべきことをしている間、あらゆる人々の関心が彼に注がれています。

アフトン・アルマラス
Senior Picture Desk Editor, New York

「ドナルド・トランプがRNCのステージを威風堂々と歩いてきて妻のメラニー・トランプを紹介したときのことは忘れられません。スタッフフォトグラファーのアレックス・ウォンは完璧な位置に構えて、この異例の登場の様子を捉えています。トランプが早めに登場するかどうか、もし登場する場合どのように登場するかは知られされていませんでした。現場で編集しているときに、メディアルームでクイーンの『We Are the Champions』が流れはじめてから数秒以内に、アレックス・ウォンからトランプがレスリングのWWEスタイルで堂々と登場する様子を捉えた写真がチームに届いたことを覚えています。バックライトで照らされた煙のなかを歩いてくるトランプを捉えたこの写真は見た途端忘れられない一枚となり、劇的な登場の様子だけでなく、彼のショーマンシップの大きさと尊大な人格を物語っています。」

レベッカ・ダウンズ
Senior Picture Desk Editor, London

「2016年6月24日の朝は夢を見ているようでした。私たちロンドンっ子のほとんどが呆然とさせられました。イギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票の結果が明らかになり、純粋な喜びから不安まで英国全土からの反応がメディアを通じて報じられていました。この忙しい朝、多くの写真を扱いましたが、この結果への残留派の反応を捉えたロブ・ストザードの写真ほど衝撃的なこの結果をうまく捉えたものはありませんでした。紛れもない驚きと失望が見事にありのままに捉えられていて、48.1%の英国民の感情を見事に映し出しています。この写真を見たとたん、私はこの写真とジャック・テイラーの離脱派の人たちが喜ぶ様子を捉えた写真とともに、@GettyImagesNewsを通じてすばやくTwitterにシェアしました。非常に強烈な対比を表しています。」

ブランドン・チョウ
Picture Desk Editor, Los Angeles

「ハイディ・クラム本人の分身である衣装はモデルであるナルシシズムに対してユーモアたっぷりにコメントされました。今日のInstagram文化において、特に現代を象徴する写真で、ハイディ・クラムは自分自身を5人のモデルで複製して自己執着心を次のレベルで表現しています。ハイディ・クラムの表情はレッドカーペット並みですが、他のモデルたちは不気味なほどに違います。全員がモデルで、そっくりでありながらわずかに違うモデルたちとクラムとの違いは無視できません。この何かが狂っているという感じがこの写真を非常に興味深く、型破りな作品にしています。ハロウィンが魂をまどわす日であるなら、ハイディ・クラムはその魂全部をたやすく欺いたことでしょう。」

マリベル・デ・ラ・トッレ
Senior Picture Desk Editor, New York

「今年は愛着のある写真がたくさんありましたが、マリオ・タマが撮影したブラジルのジカウィルスを扱った最初のシリーズの写真は私にとって非常に特別なものでした。この時初めて、この伝染病について真剣に考えるようになったからです。母親と息子との間の静かな時間がこの大惨事を世界に伝える上で表したタマの配慮を裏付けています。」

エイミー・ゼレンスキー
Senior Picture Desk Editor, London

「3月ブリュッセル空港は自爆テロ行為により閉鎖されました。フォトグラファーが、当局が一帯を閉鎖する前に現場にすばやく到着して、被害者の様子を記録することは稀です。しかし、この場合には、テロ攻撃が発生したとき、ジョージア人ジャーナリストのケイティバン・カーダバは旅行中だったので、現場を撮影できたのです。右側の女性は客室乗務員ですが、何も知らずに空港や駅を通って日々の日課をこなしている私たちの誰にでも起こり得ることです。この女性の疲労感、ショック、困惑は私たちの共感を呼びます。こちらをまっすぐ見据えていて、私たちは彼女と自爆爆弾の影響を示す衣服の乱れから目をそらすことができません。左側の女性は電話で誰かと話していて、おそらく、助けを求めたり、親しい人に安全を伝えているのでしょうが、その彼女の手は血まみれです。この写真に写っているのは死の間際にある、または死んでしまった被害者の生死の瞬間ではありません。2人の女性は置かれた状況に対処しているのです。テロの生存者であるという混沌の瞬間を写し出した恐ろしい写真です。」

2016年を特徴づけた瞬間を捉えた写真がたくさんありますので、Getty Images’ 2016 in Focusのデジタルエクスペリエンスでご覧ください。