国が変わる瞬間

保守的な歴史観を持つことで知られるアイルランド。ところが今年5月に、同性婚を合法とする憲法改正の是非を問う世界初の国民投票が行われ、賛成派が多数を占めた。首都ダブリンを拠点とする写真家で、国民投票に賛成派として活動してきたデビッド・レビングストン。国の変化と受け入れを象徴するこの瞬間は、特別なものだった。

「賛成を支持するキャンペーンに参加したことは素晴らしい体験でした。そして、圧倒的勝利を収めた瞬間を目撃できたことは、私の人生で最高の体験の1つです」と、レビングストンは話す。「これでアイルランドのLGBTの人々は、自分自身を愛し、社会の中で堂々と生きていくことができます。これまでLGBTであることを隠していた人達も、カミングアウトしやすくなったのではないでしょうか」

毎年恒例のダブリンLGBTプライドパレード。今年は国民投票の結果を受けて、70以上もの賛成派グループだけでなく、その他にも数十のグループがプライドマーチを行い、最大規模になるだろうと予測された。レビングストンは、この瞬間を待ち望んでいた。

「どんなに小さいことでも、差別や抑圧の広がる地域に平等と尊敬を伝えたい」

彼は、世界中から移り住んできた“新しいアイルランド人”の撮影に焦点を絞る。彼らは、よりオープンで多文化社会を形成している現在のアイルランドを象徴するグループだ。そこで、以前一緒に仕事をしたアイルランド人とブラジル人のカップルに、パレード撮影当日に被写体になってもらうことにした。

「祝福を感じる瞬間を撮影したかったです」と、レビングストンは話す。「それもできるだけ本物の瞬間が捉えたかったので、私が期待するスタイルや感情をカップルと事前に話し合いました。彼らが期待通りのスタイルを表現してくれたおかげで、とても良い撮影ができました」

Nikon D800を使用し、75,000人もの人々が行進する流れに沿いながら、パレードとは逆方向に歩いて撮影を行う。そんな状況でも、エネルギーに満ち溢れる彼らの姿を撮影することに成功することができた。彼の撮影した1枚は、音楽専門チャンネル MTVの記事で大々的に使用されたため、バイラルメディアサイトのUpworthyで急速に広まったそうだ。

「このようにメディアの掲載や写真を通して、愛し合うカップルの現実と普通さを伝える手助けになれれば嬉しいです。私の活動が、どんなに小さいことであっても、差別や抑圧が広がっている地域に平等と尊敬を伝えることに貢献できればと思っています」

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