「人々は“もっと見たい”、“もっとやりたい”だけでなく、“もっとなりたい”も求めるようになっているのです」

見る人を誘い込むような風景、冒険旅行を希求する心、遠くの国へと旅に出たい気持ち、宇宙について巡らせる想像。現実でも仮想でも、際限のない美しさや自然の予想もつかない不可思議さに、人間は太古の昔から憧れを抱いてきました。

このような想いは、私たちの周囲にあるビジュアルに確かな影響を与えています。

「Wanderlust(旅行癖、旅心)」と「Wonder(不思議、知りたい気持ち)」が組み合わさったこの感情を、私たちは「Wonderlust(ワンダーラスト)」と呼んでいます。これは、ゲッティイメージズのビジュアルリサーチャーが質的・量的調査に基づいて予測したトレンドの1つで、旅に関する一般的なイメージを超越したビジュアルとして表現されています。

ワンダーラストは、人間の中にある旅への探究心を捉えるだけでなく、宇宙、自然、精神性に今ひとたび魅了される人間の気持ちに訴えるものです。ゲッティイメージズでも、ワンダーラストを表現している写真の人気はここ数年でさらに上昇しています。

このトレンドに影響を与えている様々な要因は、以下のとおりです。

1. 遠い世界に私たちを連れ去るテクノロジー

物理的な冒険だけではありません。リビングルームから一歩も外に出ることなしに、明るく光る画面を通して様々な体験ができます。

Atlas ObscuraWhimsyなどのサイトは世界の裏街道とでもいえるような土地を探索し、Pinterestではトラベルだけで何百万本ものピンが立っています。新たなバーチャルリアリティ技術によって可能になった仮想体験も、もう1つの例です。

Visit Britain(英国政府観光庁)のこのビデオは、主観ショットで見る人を中に引き込み、まるで実体験のように感じさせる効果があります。

 

2. ひとり旅

不思議との遭遇を欲するとき、人はひとり旅に出ます。英国の旅行業者を対象とした2015年の調査では、旅行に出る人たちの1/3がひとり旅だと予測しました。また、TripAdvisor調査では、ひとり旅をする女性の増加が示されています。Esso(エッソ)のこのビデオで描かれているように、2016年はシニアのひとり旅も業界に影響を与えています。

 

ひとり旅は、精神的に日常を離れた場所へ行って自分の内面を探りたいという気持ちの現れでもあります。

この心情は、シェリル・ストレイドの小説を原作とした映画『Wild(邦題:わたしに会うまでの1600キロ)』でも表現されています。リース・ウィザースプーン演じるヒロインは、母親の死、そして結婚生活破綻の末、アメリカ三大長距離自然歩道パシフィック・クレスト・トレイルへと自分発見の旅に出たのでした。

人々は「もっと見たい」、「もっとやりたい」だけでなく、「もっとなりたい」も求めるようになっているのです。

3. 科学、自然、幻想に魅了される人間

寿命が限られている人間は、「より高い目的」を探し求めており、その結果、不可思議な科学、自然、幻想の世界に魅了されます。

一般人が宇宙旅行に出るのも遠い将来のことではなくなった今、『Gravity(邦題:ゼロ・グラビティ』『Interstellar(邦題:インターステラー)』などの映画に人気が集まっています。また、米TV番組『Cosmos: A Personal Voyage(邦題:コスモス(宇宙)』のリブート版『Cosmos: A Spacetime Odyssey(邦題:コスモス:時空と宇宙)』も実現しました。

IBMの「See what the world is making today(世界で今日何が作られているか見てみよう)」キャンペーンも、良い例です。

一方、Emirates(エミレーツ航空)の「Don’t let the world pass you by(世界を素通りさせないで)」キャンペーンは、この大きな世界で自分は小さいという気持ちをうまく表現しています。

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Emirates / dv8 – “Don’t let the world pass you by”

また、2つの感覚的なシーンが左右に美しく並んだSeabourn Cruise Line(シーボーン・クルーズ・ライン)のビデオは、見る人を「その場の世界」に引き込み、自然の素晴らしさを感じさせます。

 

現実世界でも仮想世界でも、ワンダーラストの時代を生きる私たちは、ビジュアルという触媒を介して、世界をフレッシュな目で見ています。

「Wonderlust(ワンダーラスト)」を表現した写真は、ゲッティイメージズでご覧ください。