自然界の審美の表現と価値は、大きな進歩を遂げてきた。アーティストたちは従来の常識にとらわれることなく、アナログとデジタル、現実と幻想を巧みに交差させて、不可思議なリアリティを描写する新たな手法を次々と生み出している。ゲッティイメージズのグローバルクリエイティブチームでも、現実を超越した現実「Surreality(シュールリアリティ)」を2016年のビジュアルトレンドの1つとして特定したが、実際に多くのアーティストが、個人的な想像上のレンズを通して世界を描くことにより、注目せずにはいられないほどの強い何かを印象付けている。

「見る人を陶酔させる没入型でサイケデリックなビジュアルは、ジャンルを超えた利点があります」と言うのは、ゲッティイメージズのアートディレクター、ローレン・キャッテン。「テクノロジーによって偶然との出会いが減った今、このビジュアルは、意外性を感じさせ興奮をもたらします」

自然、文化、テクノロジーを組み合わせることにより、誰もが予期しない形で概念的な写真を生み出すパイオニア的存在として知られているのが、日本人写真家のHiroshi Watanabe(ワタナベヒロシ)だ。バーチャル地球儀ソフトのGoogle Earthの写真を、3Dモデリングソフトで加工することにより、霜降り肉で覆われた惑星の姿を幻想的に表現している。架空の景色とはいえ、この写真に描かれているものは全て、ワタナベ氏の内側から湧き出てきた本当の感情に基づいている。

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クレジット:Hiroshi Watanabe

「木星の写真を見た時に、よほどお腹が空いていたのか、表面の縞が美味しそうなベーコンに見えたのです。そこで、“お肉を使えば、何か違っていて面白い。そうだ、自然と冒険を掛け合わせよう!”というアイデアが浮かんできたのです」と話す、ワタナベ氏。

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クレジット:Hiroshi Watanabe

ワタナベ氏はこのアイデアを、食べ物で出来た風景「Foodscapes(フードスケープ)」シリーズで、陶酔感と嫌悪感を交えてユーモアに物語っている。

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クレジット:Hiroshi Watanabe

 

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クレジット:Hiroshi Watanabe

自然とテクノロジーが融合して誕生したワタナベ氏の作品には、万華鏡スタイルで描く花の写真も多く見られる。有機体が建築パターンを生み出し、数学的精度で繰り返す。このモザイク状の特殊効果を適切に加えるためには、細心のアプローチが必要だったと言う。

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クレジット:Hiroshi Watanabe

「春の花畑から色とりどりの花の写真を、最初にいくつも取り出しました。その後、色、形、美学を全て考慮に入れながら、3DCGアプリで幻想的な万華鏡風に仕上げました」

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クレジット:Hiroshi Watanabe

 

現代生活の複雑さも表しているワタナベ氏の作品は、新しき未知なる風景へと私たちを限りなく導いてくれる。以前のような境界はもう存在しないのだから。

 

「Surreality(シュールリアリティ)」の写真は、gettyimages.co.jpをご覧ください。