「スポーツフォトグラファーは、様々な状況に対応し、与えられた状況の中で、最高の写真を撮影する方法を常に考えます」

マティアス・ハングストは、これまでに多くの作品で受賞を果たしてきたドイツ人のスポーツフォトグラファーだ。2015年のロシアのカザンで開催された国際水連世界選手権でハイダイビングをする選手を撮影した写真は、息を呑むほど美しく、名誉あるSven Simon Awards(スヴェン・ジーモン・アワード)で1位を獲得した。今回、受賞作品が出来上がるまでの経緯を聞いてみた。

ハイダイビングは比較的新しい種目で、レッドブル社が人気を広めました。今ではハイダイビングの世界選手権として、レッドブル・クリフダイビング・ワールドカップが開催されています。華麗に飛び込む姿は、エクストリームスポーツ愛好家たちだけでなく、私のような写真家からも注目を集めています

この写真を撮った2015年の世界水泳選手権では、カザンカ川に向かってダイブできるように高台が設置されました。男子は27m、女子は20mの高さから飛び込み、空中での選手の動きを撮影するのは簡単ではありません。また、安全上の理由から足で入水することになっています。頭から入ると、衝撃で怪我をする可能性があります

大会が始まる1時間前に会場に着き、いつもと違う被写体を撮影するためにベストな場所や方法を素早く決める必要がありました。ロジスティクスやタイミングのことも考えて、ボート、高台、川岸の3つの視点から撮影をすることにしました

まず最初に、高台に登ってリモートカメラを設置しました。私は下から無線でカメラをコントロールし、ジャンプ直後で高く舞い上がっている選手たちを撮影しました

次に、天候をチェックしてみると、“川岸からダイバーを撮影すると美しいショットが撮れかもしれない”と感じました。この写真は、選手の身のこなしと空の雲が調和している瞬間を撮影しようとして出来上がった写真です。もし雨が降っていたら、全く違う構図を選ぶことになったでしょう。スポーツフォトグラファーは、様々な状況に対応し、与えられた状況の中で、最高の写真を撮影する方法を常に考えます

この写真で気に入っている点は、信じられない高さから選手が飛び込んでくる様子が伝わってくることです。この高さからダイブすると、空中を飛んでいる時間は約2~3秒、その後は最高時速約90kmで着水するそうです
最後は、ボードにすばやく乗り込んで、世界遺産のカザン・クレムリンを背景にダイバーを撮影しました。普通では考えられないセッティングで捉えられた写真は、なんだか幻想的だと思いませんか

現在は、特にリオデジャネイロ・オリンピックに向けて準備をしています。2014年のサッカーワールドカップでもゲッティイメージズのチームの一員としてブラジルを訪れたことがあり、ブラジルで開かれる一大イベントに再び携わることのできる喜びを噛みしめています

マティアス・ハングストの写真は、こちらをご覧ください。

 

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