2016年米大統領選挙中に撮影されたドナルド・トランプ氏の写真は何千枚にも及ぶが、その中でも一際飛び抜けた1枚がある。それがこの写真だ。今回の大統領選でゲッティイメージズから最もダウンロードされた写真となった。

2015年9月にテキサス州ダラスで開かれたキャンペーン集会にてトランプ氏をこの写真に収めたゲッティイメージズ受賞フォトグラファーのトム・ペニントンは当時、リアリティ番組のスターが共和党の大統領候補指名を獲得することになるとは思ってもいなかったそうだ。

「あの頃のドナルド・トランプ氏は、目新しい存在として注目を集めてはいましたが、真剣に受け止められてはいませんでした」と話すペニントン。「彼がここまで躍進するとは、誰も想像できなかったことです」

選挙戦においてまだまだ早い時期であったため、ペニントンはトランプ氏のキャンペーン側から制限されることなく、集会が開かれたAmerican Airlines Center(アメリカン・エアラインズ・センター)会場内を自由に歩き回って撮影することができた。背景をぼかしてトランプ氏の顔がフォーカスされるようにしたかったため、望遠レンズを使って演壇から30メートル弱の所からこの写真を撮ることに成功したペニントン。

「トランプ氏が、高台をパレードのようにゆっくりと入場してきました。オーディエンスに向かって手を振りながら姿を現し、ちょうど真っ正面にこちらを向いた瞬間を捉えたので、彼のジェスチャーと髪に焦点を当てることができました」と話すペニントン。「トランプ氏が作る顔の表情はとても豊かなので、それを強調したかったのです」

ニュース写真で経歴を築いた後、現在は主にスポーツイベントを撮影しているペニントン。しかし彼にとっては、スポーツ写真の撮影でも政治写真の撮影でも、“参加者の熱意を表現する”という根本原理は同じだ。

「これらのイベントに参加する人たちは、とても情熱的で政治に夢中になっています。そうでなければ、仕事を休んでまで行かないでしょう。この点で、スポーツファンとよく似ています」と話すペニントン。「また、応援する側に関わらず、候補者は素晴らしいショーを見せてくれます。これも、プロのスポーツ選手の場合と同じですよね」

ペニントンにとって、トランプ氏は“ショーマンであり政治家も目指す”完璧な例なのだ。

「候補者はリハーサルどおりに演出するのが通常ですが、トランプ氏の場合は行動や発言を予測することができません」と話すペニントン。「彼は、テレプロンプターに映し出される原稿を読み上げず、話があちらこちらに飛んでしまうことを恐れないのです。政治では、これは非常に稀なケースです」

 

2016年米大統領選の特集写真は、ゲッティイメージズをご覧ください。